幼少期の残酷な思い出
小学生低学年の頃の話です。 自宅には石を削って作ったような変な【すり鉢】がありました。 そのすり鉢を見つけた私は、その時からある作業を繰り返すようになります。 その作業というのは、トンボを捕まえてきてバラバラに解体してから、そのすり鉢を使って団子を作るのです。トンボをたくさん捕まえた記憶があるので、季節はトンボがよく飛び回る夏から秋にかけてだと思われます。なぜそのような残酷なことをしていたのかは分かりません、私はなぜか使命感に駆られてその行為を行っていました。 学校から帰ったら、虫取り網などでトンボを捕まえられるだけ捕らえてきます。それから手で割いてバラバラにした後にすり鉢の中に入れ、手ごろな大きさの石でつぶしました。形がなくなるまでつぶしたら団子型に整形します。一つの団子を作るにはトンボの数が多ければ多いほど良いと思っていました。トンボが足りなくなると、またトンボを捕まえてきては潰すの繰り返しです。 強烈に記憶に残っていますが、その行為を行っていたのは二カ月間ほどの間だけだったと思います。 途中から急に気持ち悪くなりだして徐々にやめてしまったからです。 トンボにはとても悪い事をしたと思っているので、あの事を忘れない為にすり鉢は自宅に残してあります。懺悔の為に、家の中に入ってきた虫も出来るだけ殺さないようにして逃がします。 ただ、一つだけどうしても気掛かりなことがあるのです。 私は結果的に大量の団子を作ってしまいました。 その団子を作っている時の光景は思い出せるのですが、その作った団子をどうしたのかまではまったく思い出せないのです。 私はいったい何の為に、あのような残酷な行為を行っていたのでしょうか。 大事に作った団子をいったい何に利用したのでしょうか。 そのことだけがどうしても思い出せないのです。