部屋に幽霊が入ってきた時のことです
これは管理人の唯一の心霊体験です。
学生時代、弟と私は二階にある隣同士の和室を使っていました。
お互いにそれぞれの部屋でマンガ本を読んだりしながらくつろいでいると、弟が隣の部屋から話しかけてきました。
「兄ちゃん、いま部屋の前通った?」
私はその時ベッドの上でマンガ本を読んでいました。
弟の勘違いだと思い「通ってないよ」と言うと
弟は「入口の隙間から影が見えたから、兄貴が通ったと思った」と言いました。
このとき弟も、私が部屋の中にいることを知っていたのでちょっと変だなと思ったらしいです。
詳しく聞いてみると、その影は私の部屋の方へ入っていくように見えたと言っていました。
実際に弟の部屋の入口のふすまを見てみると、十センチくらいの隙間が開いています。
上の画像が部屋の間取り図になります。
赤い丸がふすまの隙間があった場所です。
もし一階から誰かが上がってきたのなら階段を登る足音で分かるはずですが、足音はなかったそうです。ただ影が通るのが見えただけだと言っていました。
「おばけかもしれないねぇ」などと冗談を言いながら、階段や部屋の中をチェックしていましたが特に異変も感じられません。
ちょっと不気味でしたが、私は部屋に戻って読みかけのマンガ本を読んでから寝てしまいました。
異変が起きたのはその後の事です。
夢の中で私は目を覚ましました。
ベッドの脇にあるサイドボードを見ると何かが浮いています。
それは男性の顔のように見えました。
私はその瞬間に、さっき弟が見た影の正体はコイツだったんだと思いました。
男性の顔のように見えますがはっきりとした形は無く、真っ黒い煙のようです。
おまけにものすごく悪意を持っているように感じられました。
その真っ黒な煙は全力で私を目掛けて襲ってきます。
ですが、ある一定の距離からこちら側へは来られないようです。
その真っ黒な煙は何度もうしろに下がっては、助走をつけるようにして向かって来ます。
私の体の中に入ってこようとしているように感じられました。
私は普段はすごく怖がりなのですが、その時は不思議と恐怖を感じませんでした。
逆に、コイツをぶっ飛ばしてやると、メラメラと闘志が湧いてきたほどです。
ボクサーのように両手の拳を握りしめ、その真っ黒な煙に向かって何度も何度もパンチを繰り出しました。
どれだけの間そのようにして戦っていたのかは分かりません。
気が付いたら周りが明るくなってきて、その真っ黒な煙は消えていきました。
そして夢から目が覚めたのです。
夢から覚めた私は反射的に拳を顔の前で握りしめ、サイドボードをにらみ付けました。
ですが、そこにはもう何もありません。
部屋は朝日で眩しいほどに明るくなっていました。
どうやら無事に悪霊を撃退したようです。
おもわず「勝った!」と口に出していました。
長い時間戦っていた感じがするのですが、一瞬で朝になったような不思議な感覚です。
疲れていたこともあり、ベッドの上でしばらく勝利の余韻に浸っていました。
その日は昨夜からの出来事を弟に報告をして、面白おかしく話して聞かせました。
それから夢の中に真っ黒な煙は出てきません。
たまにあの時の真っ黒な煙がいるような嫌な気配を感じる時もありましたが、ここ数年間はその気配すらまったく感じなくなりました。ずっと粘着されているようで嫌でしたがどうやら諦めてくれたようです。
あれが悪霊だったのか夢だったのかは分かりません。
でもあの体験から私は、幽霊のような形の無いものでも怖がらずに拳でぶん殴ったらなんとかなると勝手に思っています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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