二つ隣駅の少年に幽霊だと思われている

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二つ隣駅の少年に幽霊だと思われている
http://hayabusa3.2ch.sc/test/read.cgi/news4viptasu/1431605296/

1: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
その少年と出会ったのは去年の夏。
俺はバイトがない日は二つ隣の駅の近くにある比較的大きい公園で課題を考えるのが日課だった。
池のそばの休憩所、そこに唐突に現れた少年は、何も言わずベンチに座って俺を時々見ていた。

俺と少年のゆるーい話


俺(仮に佐藤尋)スペ
水彩が趣味
ひょろい色白もやし
とにかく弱そう
実際弱い
悲しい自他共通認識

少年(仮に義くんとする)
小学校中学年?
かなりの不思議君
俺をフルネームで呼んでくる

つまらないかもしれないけど聞いてよ






2: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
お、おう!


6: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
もしかしたら義くんは頭の発達が遅い子なのかもしれない。
と、俺は思ってる。

そもそも俺を本気で幽霊だと思ってる事からして、ちょっと変だと思うだろう。

義くんとは最初、全く話すことはなかった。
ただ、俺を黙って見てるのは毎回。
だから俺も義くんをちょいちょい観察してた。


7: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
観察していて思ったのは、怪我の多い子だなぁということ。
二度に一度は絆創膏かかさぶたが増えていた。

俺はこのとき小学校は元気だなぁ流石ぁ……くらいにしか思っていたが、後々衝撃の事実を知ることになった。
これは後で話さしていただくけど


20: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
俺と義くんのコミュニケーションは、中々進まなかった。

休憩所で顔を合わせるのが5回目くらいの時かな?
多分これが初の意思疎通なんだけど、義くんが俺の顔をまじかで覗き込んで、声を掛けたような雰囲気を出してきた。
俺はそれに首を傾げて応えたんだけど、そしたら義くんは、水筆のキャップを差し出してきた。
なんぞ?て思ったけど、なんと俺の筆のキャップを拾って持っててくれたらしかった。

ちなみに水筆っていうのは、筆の持ち手に水を入れておける水彩とかの便利グッズ。


21: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
なんともおかしいんだけど、俺と義くんはこの無言の意思疎通を暫く続けて会話していた。
挨拶は顔を見ながら頭を軽く右に倒すとか
そこに虫がいるとかだったら覗き込んで手招きして指を指すとかそんな感じ。
無言なのに仲が深まるミラクル。

俺はそのとき人間関係でちょっと病んでて、人と話すのは嫌だったけど、義くんとのやりとりは何だか不思議な非日常といった風で楽しんでいた


23: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
俺と義くんは雨の日でも結構な頻度で公園にいた
義くんが美人なお姉さんだったら、言の葉の庭的な感じでときめくのにぃ
とかよく思ってた
まあ、美人なお姉さん要素だけでなくイケメン要素も足りないんですけどね

あと義くんは雨の日は傘をよく、くるくる回して眺めてた。
俺もその光景きれいだなーって見てたけど、これはそういう子が繰り返しやるなんたらってやつかな?とも思ってた

ちなみに公園は道とか整備されてる感じで、雨の日でもわりと過ごしやすい
駅からも近いしね


24: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
見てくれてる人いるかな?
わからないところあったら言ってくれ
文才なくてごめん


25: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
見てるよ
まだ途中だから特に質問はないな


26: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
続きまだかな


27: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
早くしてくれ
風邪ひく


28: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
>>25
了解

>>26
明日書きためておくから待ってて

>>27
最近暑くなってきたけど、まだまだ夜は冷えるから、服はちゃんと着といて


29: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
あんまり似なかったんだけど、雰囲気こんな感じっていう絵を描いてみた
少なくとも俺より綺麗な顔をしている義くんです




30: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
8月に入った頃くらいに、義くんが膝を真っ赤にしたまま公園にやってきた
血が固まってたり流れてたりで、傷痕が残らないかと思うほどの怪我だった
思わず俺は「どうしたの?」と声を掛けた。
内心の驚きとは裏腹に冷たい感じなのはコミュ障仕様です
とりあえず、これが初の言葉掛けだった。
しかしここで義くんの衝撃発言が投下される。
「お、お兄さん、幽霊なのに?」



「……幽霊?俺????え、俺?」
みたいな反応を返したと思う。多分。


31: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
ちょっと言葉の意味がわからなくて俺は深く追求しなかった。
まあびっくりしたけど聞き間違いかもしれないしと思い直し、「とりあえず怪我洗おっかー」とか棒読みで話しながら、義くんの軽く手を繋いで水道の場所を思い出しながら休憩所を出た。
義くんは手にも砂がつきっぱなしだった。

近くのトイレで傷を洗って綺麗にして、義くんをベンチに座らせて俺は駅の近くの薬局まで自転車をとばして絆創膏と消毒液を購入して戻った


32: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
義くんは大人しくベンチに座ってくれていて、俺は消毒液を義くんの膝と手にぶちまけ、さっさと手当をした。
義くんは本当に小さい声で「ありがとう、幽霊さん」と言った。




聞き間違いじゃなかったか……と俺は陰惨な目で義くんを見た。


38: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
ここで俺は、俺が幽霊であると言う誤解を解こうか迷った。
内心面白い状況だと思う自分もいたから。

結果、特に否定も肯定もしないことに決めた。
その日はまた休憩所に戻り、お互い無言のまま過ごした。

帰り道、あのとき勢いに乗って名前を聞いとけば良かったと少し後悔したのをおぼえてる。
次会った時に訊いてみよう。
そう考えながら、その日は寝た。


63: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
唐突だけど、俺は結構お腹が弱い。
そしてメンタルも弱く女々しい。
冷凍食品コーナーでもミスドでも、果ては学校でも、夏はちょっと厚めの上着がないと速攻で腹がギュルギュル言い始める。
これはストレスでも同じ。

実は義くんと出会うちょっと前から、二年前に別れた元恋人に家凸されまくり非常にストレスを抱えていた
されまくり、とは言ったが計5、6回かな……

ごめんつまり、次に義くんに会った時は名前を訊くどころではなく、腹を壊して鞄を枕に休憩所で寝てた。


68: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
横になるには大分狭い長椅子で、体を曲げて俺はうんうん唸っていた。
家に帰ると元恋人がまた来るかもしれないという心配から、何だか家に安心していれなくなっていた。

そこにふらりと義くんが現れた。
絆創膏はしていないが、見る限りまだ膝の怪我が痛そうだった。

義くんは首を傾げながら俺の顔の前あたりにしゃがみ、さわっと俺の頭に触れた。
撫でた……とも言える気がしなくもない。
でもまあ屋外でしかも夏。
じんわり汗が滲む髪を触られるのは落ち着かない。
しかし、義くんが俺に触った……謎の感動に満ちた俺であった。
記念すべき初スキンシップである。


72: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
待っててくれてるのは嬉しくなるね
とりあえずパンツは履いてしまうか元の場所に返したほうが良いと俺は思う。


義くんはしゃべらなかったけど、俺を心配してくれていた。
なんか、俺の事を全然知らない、ほとんど話したこともない子が俺を心配してくれているって事が、
上手く言えないんだけど、キラキラしててすごく綺麗で、優しい色の宝石のようなものに思えた。

一言で言うなら、多分感動してしまったんだと思う。

というわけで女々しい俺はちょっと泣いた。


74: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
今のところ、義くんが見えてこないな


77: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
>>74
キャラクター像的な意味で?

79: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
>>77
そうそう
謎というかなんというか


84: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
>>79
謎っていうのは的を射てるんだよね……
俺から見た義くんは、多分自分の世界を持ってるんだと思うんだよ。
外部に横槍を入れられることのない閉じた世界みたいな。
その辺の人に言わせれば、中二病予備とかかも知れないけど、巷で言う中二病みたいに、自分主体の世界じゃない感じがする。

これは本当多分だけど、義くんの世界が一番完璧になるのが、俺たちが会ってる公園なのかもしれない。

義くんの空気っていうか、雰囲気はいつも穏やかで、本当にこんな小さい子が持てるものなのかってくらい澄んで見える。
多分そういう世界にいるんだと思う。

多分とか、思うとか、不確かで俺の主観的で申し訳ないけど。
まとめると義くんはまごう事なき不思議くんだねって感じ。

俺もよくわかんない。
俺からしたら義くんの方がよっぽど不確かで幽霊みたいだなって感じ。


87: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
しばらく何をするでもなく、義くんは俺の近くに座ってたけど、何を思ったかすくっと立ち上がり、トイレの方向に小走りした。

俺はそれをみてて、また膝を怪我したりしないかヒヤヒヤしてた。
歩いた方が良いよと言いたかったが、しかし腹が痛かったので諦めた。


戻ってきた義くんは、おーいお茶の小さいのを俺に差し出してくれた。
俺は、「この子お金持ってたのか……」と一番に思った。

また涙腺を刺激されつつ、半分程飲んでから、
「ありがとう。これ、半分こしようか。嫌じゃなかったら。」
とか言いながら義くんに返した。
しばらく俺の顔を見上げていたが、義くんは頷いた。


90: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
>>1は感受性豊かだな


91: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
追いついた

絵がすごく上手だけど美大生なの?
水筆とか課題とか


92: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
>>90
正直、感受性豊かに居たいっていうのがある。
大学の友人には不思議ちゃん乙とか、中二病乙とか言われる時があるけど……
感性を殺して良いものを何処にでもあるようなものにするのは勿体無い
と、俺的には思う…
パッと聞き痛いのはわかってるけど


>>91
計画不足と努力不足で美大の選択肢が出来なかった人間です
絵は小さい頃からなんか好きだから、
就職して、お金を貯めたら美大へ学びに行ってみたいとは思ってる

最終的には、絵を描きたいとは思う


95: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
>>92
そうなんだ
いつか夢が叶うといいですね


97: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
>>95
ありがとう。

予想外にこのスレでヌクモリティってやつを感じてる……


93: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
つまらない俺の話は置いといて、蛇足かもだけど、このおーいお茶のおかげで、俺の中で義くんに対する現実感が少し生まれたのであった。
本当に少しだけど。


94: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
おーいお茶を飲んで、また無言になって、すーっと気持ちのいい風が吹いてきて、ぼうっとしながら横になって目を閉じた。

多分20分くらい本気で寝だと思う。
気づいたらお腹はもう痛くなかった。
俺はこの公園と義くんの癒しパワーを確信
した。

ここでひとつ忘れてはいけない事があったのを思い出す。
義くんの名前だ。わすれてた。

しかし、この無言の空気は居心地いいが、いざ壊すとなると躊躇するものだった……


96: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
さっきは普通に、半分こしようみたいな話をしたのに、今は全くなんと声を発したらいいか不明だった。
俺はとりあえず、
「風が気持ち良くなったね」


と心の中で思った。
なんて声を掛けようか考えながら俺は、いつも日常で感じる堪え難い不安感が無いのに気づいた。

義くんになんて声を掛けようか迷うのに、その後の展開がどうなるか心配なのに、逃げ出したい気持ちになんてならなかった。

ちなみに俺はいつも人と話してると段々逃げたくなってくる。
老若男女問わず逃げたくなる。
子供もどう接していいかわかんないからいつも近寄りもしない。

義くんは不思議だなぁと自己分析を始めていた俺だった。


104: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
この日は結局諦めて、タイミングがあったときにでも訊こうと考えた。

今は多分義くんも夏休みだろうから、会う機会も時間も多いだろうと思ったし。

このスローペースたまらん。
と、マイペースな俺は勝手に癒されていた。


106: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
その次の日。
俺は朝っぱらから公園でくつろいでいた。
水彩の道具を持って、のんびり風景を描いてた。

お昼ちょい前に、義くんは現れた。
首を動かしていつものあいさつをしてから、珍しく義くんは俺の隣に腰掛けた。
俺の手元を見てから、俺を見て首を傾げるので、俺はそこに居てもいいよと言う意味を込めて頷いた。

俺はどちらかというと、リアルめに描くのが好きなので、中々時間を掛けて描く事が多い。
手元にあるのは、二枚目の絵だった。
義くんは熱心に俺の手元を覗く。
どうやら義くんのお気に召したようで俺はほっこりしていた。
そうだ、と思って、朝いちばんに描いたふんわり歪んだ絵を義くんに差し出してみた。
義くんは手に取って俺の絵を見つめた。


ずっと見つめてた。
おそらく20分くらいは見つめて居たんじゃないだろうか。
俺は絵を進めて待っていた。

正直そんなに長時間見つめるほどの絵ではない。出来も構図も着彩もそこまでじゃない。
俺は段々そわそわしてきた。


109: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
ずっと見てくれてるって事は、興味を持ってくれてると言って間違い無いはずだと俺は自分に言い聞かせ、一呼吸、自分の中で置いてから、
「それ……いる?」
と訊いた。
義くんは俺の問いでやっと顔を上げて頷いた。
そして小さい声で、通算2度目の「ありがとう」を言ってくれた。
俺はというと、にやけそうになるのを堪え切れなかったので手で口を隠した。

絵のおまけに、なぜか家に大量にあるローソンのファイルをお付けした。

そのとき、名前を訊くなら今だと思ったので、訊いたが
「君ってなんて名前?」
と、ちょっと微妙な言葉しかでなかった。

義くんはちょっと考えるそぶりを見せてから、
「まつかわよしふみです」
とちょっとたどたどしく言った。

「俺は佐藤尋です。まつかわよしふみって、こう?」
と、漢字を紙の端に書いてみたらそうだと頷いた。
どうやら松川義文というらしい。

まあここでは仮なんだけど、なんだか最近見る名前よりも少し珍しいような気がした。
なんというか、厳格っぽい。

でもいい名前だなーと思った。


111: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
ようやく義くんの名前を知った俺は、この時から了承を取って義くんと呼んでいる。
義くんはと言うと、

「さとうひろさん」

である。
正直長くないか?と思う。


明日は就活だから、今日はこの辺で。
投下まちまちで見てくれてる人には申し訳ない。
また明日。


129: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
就活の帰り道の>>1です。
なんかシックスセンスが観たくなってきたのでツタヤに行こうかな。


絵を義くんにあげてから、義くんは俺が絵を描いていると隣に居て、見てるのが定番だった。
自分の絵に興味を持ってくれて、じっと見てくれているのが、俺はとても嬉しかった。

とある日、公園に行くと義くんがその辺に風で積もった砂を集めて均して、木の棒で絵を描いているのを見た。
なんて原始的な描き方を…と思いつつ、俺も小学生の頃は校庭の隅であんな感じのことしてたなぁと懐かしく思った。


130: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
義くんは中々絵が上手だった。
木を描いたり鳥を描いたり。
なんて自然好きな少年なんだ……小説とかに出てきそう…と俺は思った。

そんな義くんの絵を見ていて、うずうずする俺。
次来るときは義くん用のカルトン的なものを用意してこようと決意した。
ちなみにカルトンとは、イーゼルを使わない時とかに紙を乗せる下敷きみたいなやつだ。

その日俺は義くんに水彩を勧めてみた。


132: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
んで、俺は義くんが絵が好きなんじゃないかとめちゃくちゃわくわくしていた。
義くんは絵にとても興味を持ってくれていて、自分の描いた絵を見て首を傾げる義くんに、いつの間にか俺が教える感じになった。

俺はずっと独学なので独学なりの、まあ俺なりのやり方でゆるーく教えた。
遠近法とか、反射光がね、とか俺が持ってる水彩の説明とか、推定小学生には早いかと思ったが、義くんが首を傾げる原因はそこそこ解決したようだった。

本当はデッサンから行きたかったが、ちょっと水彩に興味を持ってるだけの小学生に、それはやり過ぎだし、俺がこだわり過ぎだからと、ちょこっとおすすめするにとどめた。

ついつい楽しくて詰め込みたくなるのを必死で耐える俺だった。


135: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
ちょっと話が逸れるんだけど、俺は結構夜に眠れない事が多くて、ちょいちょい居眠りをすることがある。

そしてこの公園、生き物が非常に沢山住んでいて、観察イベントみたいなのもある。ザリガニ、めだか、トンボ……多種多様である。
そして、夜にめちゃくちゃ低い声で鳴くカエルさんがいらっしゃる。


そう、その名もウシガエルさん。


この鳴き声がとても大きい。
そして怖い。
すぐそこに猪でもいるかってくらい。
夜はとてもじゃないが、この公園には近寄れない。
一度蛍を探しに行ったが、暗い道を一人で歩けない俺は、公園の前までは頑張ったものの、ウシガエルさんの声に怯えて、走って駅まで帰った事もある。


ある日、とても寝不足だった俺は、真っ暗で恐ろしい鳴き声の響く公園で目を覚ました。
カエルなのはわかってる。ウシガエルさんがそこで繁殖期を迎えているだけなのは知ってる。
しかしおばけ屋敷で腰を抜かす程の俺は、マジで震えて死にそうになっていた。
気絶したい。そう思った。

義くんが幽霊なら、今すぐ助けに来て欲しかった。


136: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
俺は義くんの癒しパワーを必死に思い出しながら、姿勢を低くして鞄を抱きしめつつ公園の出口まで向かった。
ちょっと泣いてた……

そんなことがあり、俺は中々公園に行く気になれず、公園にいるであろう義くんの事を気にしつつ一カ月を過ごした。


137: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
あの公園のウシガエルさんは、本当に何処かへ移住して頂きたいと切に思う。
あとスズメバチも非常に多いので、そちらも山奥へ移住を願いたい。

俺の怖いものツートップはこれです。



138: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
スズメバチさんはウシガエルさんを食べたりもするからねぇ


139: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
>>138
だからあの公園、池の側にスズメバチ多いのかな……

ウシガエル食べるとか怖すぎる。
スズメバチが居なくなれば昼間は完璧な癒し地帯なんだけどなぁ
羽音に何度びびったか数え切れない。


140: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
>>138
逆じゃなくて…?


141: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
>>140
肉団子にして運んで行くのよ
小学生時代にそんなビデオ見せられて割とトラウマウシガエル


223: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
続き



俺が日々のストレスに耐えきれなくなり、公園に行ったのは、ちょっと前にも書いたけど、ウシガエル事件から役、一カ月弱あとだった。
9月に入った頃だ。
スズメバチも少なくなり少し安心して過ごせる。

9月だと学校も始まってるので、公園に行けるのは、水曜日か日曜日にほとんど限定される。

義くんとは中々遭遇できなかった。


しかし、とある晴れた日曜日、やっと義くんと会えた。
しかし義くんの元気が微妙に無いように感じて、義くんがあさっての方向を向いてる時にちょくちょく観察したけど、人の機微に敏感なようで疎い俺には、よくわからなかった。


230: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
高校の頃は、人とほぼ話さなかった。
話してたのは恋人、友達2人、先生くらいかな。
短大に入ってやっと色々な人と話せるようになった。
まあ、他の人から見ればズレてることもしばしばあるだろうけど……
あとよくイントネーションが違うって言われるが、うわべだけ見れば全くの無問題である。

だから、人の気持ちは、わかるようなわからないような……って感じで、自信がない。

だけども義くんの元気ない雰囲気はまぎれもないものだった。
気になったけど、今日元気ない?
っていきなり踏み込むのも気が進まないから、経過観察をする事にした。

俺なんかが入らなくても、そのうち解決するもんだと思ったし


231: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
だが、

俺がぐるぐる考えていたことはあんまり意味がなかった。
義くんが元気なかった理由は、俺が全然公園に来ないから、だったらしい。
そこは俺が来たら元気になるとこじゃないの?と思ったが、義くんはきっと落胆した気持ちを思い出してたんじゃないかと思う。

俺は予想外の攻撃にのたうち回る自分を想像していた。


そして、問題も解決したところでお絵描きが始まった。
義くんはちょっとだけ上手くなっていた気がした。


261: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
俺もどこまで話したかうろ覚えなんだけど、
絵が少し上手くなった義くんに、今度は色の事を少し教えてみた。
本格的にだと難しいから、簡単なことばっかだけど。

三原色とか、反射光のこととか、影の横に明るい色があればいい感じとか、実演しながら噛み砕いてのんびり伝えた。

義くんは結構真剣に聞いてくれてて、もしかしてこの子天才か?とか妄想を広げる俺だった。


262: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
この辺りで俺は、最初に義くんに会ったとき、発達の遅い子なんだろうか……と考えた事を思い出した。
意思の疎通は出来るし、自販機もお金も使うし、無口で一人でいることを除けば普通で。
言葉が出ないかといえば、話すときもあるから、そうでもない。

俺は首をひねっていたが、忘れっぽいからすぐに忘れてしまった。
そこまで関心もなかったし。


265: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
えっ関心なかったの?
オレたち興味津々だよ!


266: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
ただいま。

たしかに全く興味無いわけじゃないけど、この時それより気になってた事があったんだ。
それは、義くんはまだ俺を幽霊だと思っているのかどうか。
以前より沢山話すし、絵も教えてる。
教えてるったらおこがましいな。アドバイスを少々してる。

さすがの不思議ボーイ義くんもそろそろ、俺が生物だと気づいてるんじゃなかろうか……と、もんもんしていた。


347: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
ごめん腹痛で放棄して寝てた。
続きいきます
アイホンだからまたのろのろだけど

秋頃のことから話そうかな。
10月くらいになってもまだ俺と義くんはちょくちょく会っていた。
しかし未だに待ち合わせをしたことがあったかなかったかわからない。
この頃、俺にとっての大事件が起きた。


義くんに耳たぶを引きちぎられたのである。


350: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
まあ義くんが悪いとは思わない。

それは最近お馴染みの日曜日のお絵描き時間のことだった。
俺は左耳にピアスを増やしていた。
微妙に安定してないホールに待ちきれず円形のピアスをさしてちょくちょく弄ってた。

左耳がどうしても気になる俺に、
「きれいだね」と義くんが言ってくれた。

見ていいかと聞く義くん。
俺は間髪入れずオーケーした。
義くんが俺の座高に合わせて体を伸ばしたと思ったら、激痛と同時に耳から変な音がした。


352: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
涙ちょちょぎれる俺とめちゃくちゃ泣きそうな義くん。
俺は直感で、こいつこれイヤリングだと勘違いしてたなと思った。

全部裂けきったわけじゃなかったので、消毒してピアスを外して治るのを待つことにした。

その後死にそうな感じになっている義くんをあの手この手で慰めたが、どうにもならなかった。


353: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
ごめんなさいばっかりな義くん。
これには結構参った。
子供のしたことだし、全裂けじゃないから手術もしなくて大丈夫だし。
全然気にしないでいいよとは言ったものの、やっぱり気にするよなぁって感じでどうしょもなかった。

最近仲良くなってきたと思ってた矢先だったので、残念な気持ちな俺だった。


354: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
とはいえ、しばらく普通に接してるうち義くんも普通になったので、俺は一安心した。

しかし、この頃肌寒い日もある中義くんは夏仕様の装備のままだった。
寒くないのかと聞いたところ寒い、と言うので俺の予備の黒パーカーをあげた。
案の定ぶかぶかだったけど、なんかかわいい義くん。

このあたりから、俺は会ったこともない義くんの親に疑念を持つようになった。

ふと気になったのはボロボロの靴。
出会った頃から変わらない。
服のレパートリーも少なく思った。
よくよく考えると夏の暑い日に長袖を着ている日もあった。
更に上着が冬用しかないと言う。

余りにも雑ではないかとイラッとした。


357: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
まさかの展開だなあ
てか、イヤリングだったとしてもいきなり取ろうとしちゃダメだろw


358: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
耳なし芳一かと思った


361: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
取るにしても引きちぎるって凄いね
それにしてもビビったろうなぁ


362: カムパネルラ ◆RvOoWMG3IE @\(^o^)/
幽霊だと思ってたから通り抜けると思ったのかな??


363: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
>>362
多分そんな感じだと思う


364: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
義くん「今日、幽霊のお兄ちゃんの耳に怪我させてしまいました。」
   「幽霊って、血が出るんだってはじめて知りました…」


372: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
今も関係続いてるの?


377: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
>>1です
ただいま
ほしゅありがとう

>>372
今も時々会ってるよ
今はお互いの家を知ってるから家に帰ると居たりする。


義くんの家庭事情に対する疑問は沢山浮かんだけど、首を突っ込めるわけでもないからとくに何もなく日が経っていった。

そして10月後半のイベントと言えばハロウィン。
言いたくないが義くんは友達いなさそう。

そう判断した俺はハロウィン4日前から学校終わり次第公園で待機し、運良く前日に義くんに会えたので31日の17:30に義くんと駅前の小さい公園で待ち合わせをした。
念のため門限とアレルギーの確認も忘れない。
義くん宅は門限は特にないそうだ。
いいのかそれ…と思いつつ、まあ俺の学校の時間があるし好都合だと解釈した。

初っ端からバレバレだろうけど、俺は今まで自分から乗ったことのないハロウィン定番、お菓子くれなきゃいたずらしちゃうよ?を実行しようとしていた。

だがお菓子を用意したのは俺。
そしてあのフレーズを言うのも俺じゃあ全くもってだめじゃねーかとなり、義くんにトリックオアトリートと言わせて普通に詰め合わせのお菓子をあげました。

義くんはお菓子にたいそう喜んでくれたので、俺も嬉しかった。
間抜けな失敗は忘れることにした。

お菓子は
あじさい金平糖
べっこう飴
カルメ焼き
和三盆
にんじん
ピーピーラムネ

をチョイスした気がする。
後から糖尿病になったりしないか心配になり、少しづつ食べるよう言い含めた覚えがある。


379: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
にんじん!?


380: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
>>379
ニンジンの形にした袋詰めのポン菓子と予想


384: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
>>380
ポン菓子か、なるほど
なんとも>>1らしいチョいすだな


388: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
>>380
そうそうそれ
小さいとき大好きだったからつい入れてしまった。

砂糖菓子は見た目も綺麗で可愛らしいから義くんも気にいるだろうと思ったけど大当たりでとても嬉しかった。


そして11月になった。
段々肌寒さが増してきて、うわぁ寒い……てことが多くなってきても義くんは俺のあげたパーカー一択だった。
ぶかぶかのパーカーを着た小学生は可愛らしいが、パーカーは控えめに言って汚い、と言えるくらいには汚れていた。
寒さに耐え切れず毎日着ているのではないかと思った。

というわけで俺はコインランドリーに連れて行って洗濯してあげるか、それとも自宅に来てもらって洗濯してあげるか悩んだ。

幸いその日は日曜日の昼間。
俺の家は二つ隣駅の駅近アパートだ。

うちに来ないか、ためしに提案してみることにした。


389: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
ちなみに、ぱんつもズボンもそのままで。


391: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
念のためだが、服が汚いと言われたら流石の義くんもショックだろうと思い、遊びに来ない?とだけ言った。
一応、親御さんが心配したりしないか、とか色々確認したが、オールオッケーとのことだった。

義くんはなんとなく嬉しそうだった。

そうして約25分で俺の家に到着。
途中コンビニに寄りお菓子とお茶を買って帰った。

俺は母子家庭の実家暮らしだが、その日は母はパートで居なかったので説明は不要、誘拐を疑われることもなかった。

ここで俺が悩んだのは、どう本題を切り出すかだった。
なんて言ってパーカー貰おうかと。

悩んだ結果、たった今気づいた風を装い
「あ、ここちょっと汚れてるよ。俺があげた奴だし、洗濯させて。」
とコミュニケーション苦手なりに全力でオブラートを生成し言葉を包んだ。


393: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
パーカーを預かり速攻で洗濯機に掛けた。
後ほど、アパートの隣の隣にあるコインランドリーで乾燥機に入れる予定だ。

義くんはそのへんに貼ってある俺の絵を眺めて楽しそうにしていた。
絵を見てくれる人がそんなにいない俺は嬉しいのでそのまま放っておいた。

会話があんまりないのは最早当たり前のことになっていた。

ちなみに洗濯している間、義くんにはユニクロの裏地がふわふわのパーカーを着てもらった。
暖かそうにフードをもしゃもしゃしてるので、これもあげようかなと思った。


394: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
みんなあげちゃう


395: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
>>394
つい癖でww
もうなんか全部持ってけ~と思ってしまう


396: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
お父さん出来たみたいで良かったな


401: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
>>1です
結論から言うと、義くんの家も母子家庭で、母親がネグレクト気味だった。


これがわかったのは11月の終わりになった頃。
しばらくパーカーで粘っていた義くんだが、本格的に寒くなってきた頃にようやく上着を着てきた。
その頃には俺がマフラーをすでにプレゼントしていた。
だが俺は衝撃を受けた。

めちゃくちゃ小さい。上着が。

手首出てるし。
といっても俺のパーカーを下に着てて出てるのはパーカーの袖の大部分なんだけど、これには驚いた。
小さい上着の中にぶかぶかのパーカー着てるもんだから、不恰好とかそういうレベルじゃない。

俺は思った。というか確信した。
義くんは放置されてる子だと。

冒頭でも言った通り、これは間違いではなく、義くんに家でのようすを聞くと、その通りだった。

服も靴も買ってもらうことはない
お母さんとお出かけもしない
ご飯も夜はない事が多い
お金は多少貰っていて自分でご飯を買うのがほとんど、らしい。

お母さんはどのくらい家にいるのか聞くと、夜遅くか朝方に帰ってきて、義くんが学校に帰る頃にはいないらしい。
何をしているのかはわからないという。
多分お仕事だと思う……と義くんは言っていたが、おそらく仕事と遊び、半々ではないかと思った。

俺はまず土日と長期休みのごはんは大丈夫なのかなと心配になった。


402: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
虫歯や夏に厚着してるとか、いろいろ家庭に問題がある場合が多いらしいね


403: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
よしくん…


405: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
1君の事も心配だよ。
ちゃんと一人暮らし出来ているの?      母より


408: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
>>405
俺は実家暮らしだよ


409: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
>>408
1君おはよう!
なんだ実家暮らしだったんだ

のんびり続きお願いね(笑)


415: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
俺はどうすれば義くんの為になるのか考えたけど、俺にはわからなかった。

若干怪我が多い義くんだけど、大きな痣とか、バレないように暴力を振るわれてる感じはない。
それに話してる感じだと、やっぱりお母さんのことが大好きだ。

俺は相手は相手と切り離して考えてしまうので、仲良くなって構いたくなっても、実際にはどこか踏み込むことができない一線がある。
相手には相手の状況や考えがあるのだから全てを知らない俺が干渉できることではないだろう、
と思ってしまう。
人間関係苦手で奥手だ

でも義くんに、着心地よく暖かい服を着て欲しいし、寂しそうにしないで欲しい。
でもそんな思いだけで、何かできるほど俺は頭が良くない。
現にどうすれば良い方向へ向かうのかわからない。
改悪の可能性を考えると、俺は怖かった。
義くんがどれだけ傷つくのか、そう考えると恐ろしかった。

義くんがどうしたいかが大切だとは思うけど、傷ついてもいつかは、と母親の愛情を求めるのがきっと子供だから、本当にどうしたらいいのか悩みまくり、

おれはお腹を壊した。



471: 名も無き被検体774号+@\(^o^)/
>>1です
なんか中途半端に待たせてごめん
結論だけ書くと義くんはお母さんに放置されていて、たまに怒るお母さんが怖くて公園に来ていた。
なんやかんやあってなんとか近くに住むおばあちゃんに預かって貰えることになって
今、俺んちに遊び来たり、おばあちゃんプラス義くん、俺で一緒に旅行行ったりとかして楽しく過ごしてるよ

預かって貰えてとは言ったけど、義くんのおばあちゃんはずっと引き取りたいと思っていたらしい。

義くんがおばあちゃんの家に住むようになったことで、義くんとの距離は一駅になりました。

明日は面接だから、おやすみ
待たせるだけ待たせてごめん

申し訳ないけど、この辺で落としてくれ


コメント

  1. ここで終わるのか…

    返信削除
  2. おいっ!
    続きは!?

    返信削除
  3. よかったのう

    返信削除
  4. まさか、
    世界を救った勇者がこんな出会いで始まっていたなんてw

    返信削除

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